ライアン・ホリデイの『エゴを抑える技術』は、成功や自己実現を求める私たちにとって、非常に示唆に富んだ一冊です。
本書で繰り返し語られるメッセージは、「エゴは敵である」ということ。
自分自身を大きく見せたいという衝動が、どれほど私たちの成長を妨げているのかが、多くの具体例とともに語られています。
この記事では、筆者が特に印象に残った以下の5つの項目について説明しようと思います。
- エゴとは「意識的な隔絶」である
- 謙虚さと勤勉さが本当の強さ
- 沈黙は力である
- 成功とは「見かけ」ではなく「本質」で測るもの
- 学び続ける姿勢がエゴを克服する
具体例などは省いて紹介するため、気になる方は本を購入してみてください。
エゴとは「意識的な隔絶」である
本書ではエゴを、「あらゆるものからの意識的な隔絶」と定義します。
これは、他人の意見に耳を傾けなくなり、現実を見なくなり、自分の殻の中に閉じこもることを意味します。こうなると、学びもなく、成長もなくなってしまいます。
たとえ能力があっても、それは妄想にすぎず、他者との比較やフィードバックなしに意味を持たないです。
謙虚さと勤勉さが本当の強さ
「自信」「才能」といったものは、実はそれほど珍しくないとホリデイは指摘します。
珍しいのは、「謙虚さ」と「勤勉さ」、そして「己を知ること」だと。
夢を実現するには、大きく考えつつも、小さく地道に行動する。
これは決して派手な生き方ではありませんが、長期的な成長を約束する確かな道です。
沈黙は力である
本書で特に印象的だったのは、「沈黙の力」についての考察です。
私たちはSNSなどで、つい「うまくいっている自分」を演出してしまいますが、それは往々にして幻想です。
むしろ、黙々と仕事に取り組み、自分の中で成果を蓄積することこそが、真の力になります。
実際、「目標を語ると達成したような錯覚に陥る」という研究結果もあり、ホリデイは「沈黙を貫くことは戦略的に有利だ」と説いています。
誰にも話さず、自分だけの目標を静かに追う。
これは現代の騒がしい世界において、非常に効果的なアプローチだと思います。
成功とは「見かけ」ではなく「本質」で測るもの
本書では、「権威があることと、権威になることは違う」という一文が登場します。
昇進や称号、SNSのフォロワー数などは、見かけ上の成功にすぎません。
本当に大切なのは、自分が何を成し遂げたか、そしてそれをどう持続できているかです。
「どんな目的にかなうのか?」「どんな原則に従っているのか?」という問いを、自分自身に向け続けること。
その先にしか、本当の満足や成果はありません。
学び続ける姿勢がエゴを克服する
本書の後半では、「師匠から学ぶこと」「格上・格下・互角の相手と向き合うこと」「自分が何を知らないかを知ること」の大切さが語られます。
これは、プライドや自己防衛といったエゴを手放さないとできない行為です。
「学び続けることで、慢心・不安・怠惰を一掃できる」という主張は、自己啓発というより、禅やマインドフルネスの考え方に近いように感じられました。
おわりに
『エゴを抑える技術』は、タイトルの薄い印象と違って、単なるハウツー本ではありません。
自分にとって必要な問いを、じわじわと突きつけてきます。
表に出すより、内側を整える。
話すより、行動する。
飾るより、深める。などなど。
エゴが大きくなってしまいそうなとき、この本に立ち返り、もう一度「自分が本当に成し遂げたいことは何か?」を問い直すだけで、人生の軌道が変わっていくかもしれません。
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